籠城戦


<いつかのできごと>

 ――ヒマだ。

 いることを疎ましげに思ってるクセに、ルルーシュは私が外に出ることを嫌が
る。出入りするところを見られたくないのだろうが、私としてはヒマでヒマでし
ようがない。
 本でも読めとルルーシュには言われたが、字だけの本は正直飽きる。
 TVでも視てろとルルーシュには言われたが、ニュース以外をかけたら怒られる。
 なら寝ろと言われたが、まだ眠くない。眠る私にイタズラする気かと、からか
ったら、鼻で笑われた。
 ――ああ、ヒマだ。
 ルルーシュはずっとパソコンに向かって、時折誰かと連絡をとり、かと思えば
部屋の中をぐるぐると歩き回る。
 こちらから声をかけない限り、まるでいないかのように扱われる。
 声をかけても、「なんだ」と冷たい声で返され、何か言っても「フッ」と鼻で
笑われ、勘に触れば「フン」とそっぽを向かれる。
 ほかの者に対しては、愛想をよくしてみせるクセに、私に対しては随分と冷た
いことだ。
 ルルーシュは親指をかじりながら、トゥシューズに画鋲を入れんばかりに、パ
ソコンを睨み付けている。
 私は一つ、閃いた。なかなかいいアイディアだ。

「なあ、ルルーシュ」
「…………なんだ」
 振り返らずに答える。
「おなかがすいた」
「…………」
「おなかがすいたぞ」
「……ピザでも食べてろ」
「ピザか、ピザもいいが、たまには違う物を食べようかと思うんだが。いいか?」
「好きにしろ」
「言われなくてもな」
 私はベッドから降りると、スタスタとルルーシュのほうへと歩き。ルルーシュ
が座る、机の下にもぐった。
「――おい?」
 ルルーシュがいつもイライラしている原因、なんだ、簡単なことだ。
 ルルーシュも年頃の少年なのだ、グツグツと煮えたつような性欲を処理できな
いのならば、イライラしても仕方ない。
 ならば同居人として、イライラを解消させるのを手伝ってやるのは至極当然。
「ま、待て、なにをしている」
 それに、ヒマ潰しにもなる。一石二鳥というヤツだ。
「離れろ、ベルトをはずすな――おいっ、待て。だからベルトをはずすなと言っ
ている、聞こえないのか」
 猫仮面騒動により気づいたが、以外と予測外の事態に弱いルルーシュは、怯え
と驚きを混ぜこぜにしたような悲鳴をあげる。――ベルトをやっとはずせた。そ
のまま前を開け。
「待て、落ち着け。C.C.、冷静になれ」
「いただきます」
「待――、ぅ」
 私は取り出した、ルルーシュの意外と小さなソレを口に含んだ。
 むにゅむにゅと唇と舌で揉んでやると、むくむくと大きくなっていき、
「――っ。けほっ、けほっ」
 口から出さねばならなかった。
 先ほどまでの小ささが嘘のように膨張したソレは、黒光りしていて、時折ビク
ッ、ビクッと震える。
 これは退屈しないで済みそうだと、私は唇を舌で舐めた。
「……なんのつもりだ」
 ドスを効かせたらしい、くぐもった声でルルーシュが言った。
「答えろっ。場合によっては、おまえでも……!」
「なんのつもりだと言われてもな」
「答えろ」
 見上げると、いつになく頬を上気させたルルーシュが、睨んでいた。
 それに、離れようとしない所をみると、嫌ではないらしい。と、私は判断した。
 しかし、理詰めで動くこの男のことだ。なにか最もらしい理由が必要だろう、
……面倒な話だ。
「……答えろ」
「えー、と、だな。……家賃だ」
「なにっ?」
「ダメか。――なら、十時のおやつ」
「……なんだと?」
「んんー、これもだめか、なら。実を言うと、私は定期的に男性器を舐めないと
死ぬ身体なんだっ」
「…………バカかお前は」

 ……全く。面倒な男だ。
 しかし、
「お前とそういった関係になる気はない。――だが、今回だけならさせてやらな
いこともない」
「……本当か?」
「ああ、俺に二言はない……とっとと済ませろ」
「任せろ」


 涎で濡れ光る陰茎を再び口の中に含む。
 半分ほど口の中に誘うと、舌先でカリ首をちろちろと刺激し。口に入らなかっ
た部分を、親指、人指し指と中指で掴み。裏筋に爪の先が当たるようにして、ゆ
っくり擦る。
 怒張した陰茎は、精一杯に背伸びしながらびくびくしていて、かわいい。
 ルルーシュがやけにかわいらしい裏声で、喘いだのを聞いて、一旦解放。
「――どうした、もういいのか」
 などと強がるルルーシュを無視し、先端を指で塞ぎ、裏筋にキスする。塩辛い
味に、私の口唇が喜ぶ。
 じゅぱっ、じゅぱっと音をたてるようにキス――吸いつき、玉の方へと下がっ
ていく。その間も亀頭先端をくちゅくちゅと弄び、先走る粘性の低い汁で、指先
と亀頭を濡らす。
 玉袋へ口唇が達すると、あむっと口の中に含んだ。ルルーシュの臭いで口の中
が一杯になる。ふにょふにょとした袋に包まれた、堅い急所を口の中でいじる。
 亀頭をいじっていた手で、今度は肉茎を掴み。強弱をつけながら、上下する。
熱くなった陰茎は、すでに限界寸前らしく。指先にどくどくと、鼓動が伝わって
くる。
「待て……」
 私はあわてた。玉袋を解放し、亀頭を口に含む。
 私の意図を悟ってか、ルルーシュが私の頭を掴んだ。
 亀頭に吸いつき、欲望そのままの肉棒をしごく。
 のどを鳴らし、「うぅんっ」と甘えた声なぞも出し、精神的にも責める。
「――ッ!!!?」
 びゅっびゅぅっ、熱く迸るマグマが、私の口腔に溜められていく。蒸せかえる
ような臭気に堪えながら、ルルーシュが手を離すのを待つ。
「……ふぅ…」
 ルルーシュは一息つき、手を離した。
 私は烈火の勢いで立ち上がると、
「――ンっ? ――待――んぐっ!!」
 ――灰は灰へ。
 


「美味かったか?」
「…………覚えてろ」

――END

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